本殿前

神事が行われる本殿

本殿回廊内(千反田さんがお参りしていた場所)は、祭や連休などのみ開放されます。

飛騨生きびな祭とは

生きびな様記念撮影 ~平安朝にタイムスリップ~

春のおとずれの遅い飛騨はひと月おくれの”ひなまつり”を迎えます。
このお祭りは、昭和27年、もともと蚕糸業が盛んだったこの地方で、
春秋の2回蚕糸業祭がおこなわれて蚕糸業農家の年中行事となっていた
養蚕豊鐃と地域農業の振興を祈念する春の養蚕業祭に、
寒冷地のためにひと月遅れて行われるひな祭りをとり入れ、
絹に象徴される女性の気品と幸福を祈念するために始まりました。

また、戦後の新憲法により、神社が国の管理下を離れ、
宗教法人の1つとして自立した経営を迫られたことや
神社信仰を盛り上げようとしたのがきっかけともいわれ、
いわば神社の振興と蚕糸業の振興のために始まったとも言われています。
近年では蚕糸業が廃れてしまったため、祭を主催していた『蚕糸業奉賛会』も
『蚕糸農業奉賛会』と名前を変え、農業協同組合があとおしする
農業全般の豊鐃と女性の幸せを祈願する華やかなお祭りとして
毎年多くの人々を魅了しています。

餅まきの様子 ~祭典と祭行列~

祭りでは、雅楽が奏でられる中、赤鬼と青鬼を露払いに、
雅楽を演奏する伶人、稚児、菱餅や酒杯を手にした巫女、
そして選ばれた女性9人が左大臣、右大臣、内裏、后、五人官女となって続き、
その後に奉賛会の人々総勢100名余りが、平安の昔を偲ばせる
きらびやかな祭行列となり、表参道から境内まで
約900mを40分ほどかけて練り歩きます。

祭典の最後には、特設舞台において、生きびな様の紹介や
1年の豊作を祈願して、生きびな様による餅投げが行われ、
菱餅や繭だんごが振る舞われます。

昔も今も農業(稲作)にとって水は命。
この命の水の源である位山を神座(みくら)とする
水無神社(みなしじんじゃ)のお祭りには、
神通川の流域に拡がる富山方面などからも多くの参拝者が訪れ、
例年大変な賑わいをみせています。        

「氷菓」と生きびな祭

高山市出身の小説家、米澤穂信さんの小説「古典部シリーズ」を原作とした
TVアニメ「氷菓」最終話で、生きびな祭がモデルとして描かれました。
アニメスタッフの方が下見に来られ、実際の祭り風景が美しい描写で登場します。

ちなみに、作中と実際の祭とでは異なっている点もあります。
一つは行列の順路。(これは物語の重要な要素でしたね)
もう一つは傘持ち役が傘を差し掛ける相手です。
作中では「ひな役」の千反田えるでしたが、
実際の行列で傘持ちが付いて歩くのは「お内裏様」と「宮司様」です。
入須先輩に従えられる奉太郎というのも、見てみたい気がしますが…。

神社の名前も作中では変更されていて、水梨神社となっています。
高山ではなぜか音読みで(すいむ)神社と呼ばれることもありますが、
正式には水無(みなし)神社と読みます。     

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